大臣談話・大臣記者会見要旨
クマによる人身被害の防止に向けた浅尾慶一郎環境大臣の談話
クマによる人身被害の防止に向けた
浅尾慶一郎環境大臣の談話
令和7年10月17日(金)
○ 今年度のクマによる人身被害者数は、9月末時点で108名となっており、被害が甚大であった一昨年と同じ水準となっています。また、今年度のクマによる死者数は既に7名となっており、過去最多となっています。
○ 被害の内容について、家屋、商業施設など人の生活圏にクマが侵入し、被害にあう事例も多数見られ、専門家は人慣れしたクマが増えていると指摘しています。このほか、山野におけるクマとの遭遇も相次いでおり、10月の死者の2名はキノコ採りの最中に犠牲になられています。
○ 国民の皆様は、地方自治体が発信するクマの出没情報などに十分注意を払ってください。
○ その上で、改めて3つの注意をお願いします。
①クマの生息地にはむやみに入らないこと。仕事などでやむを得ず入る場合は、単独行動を避け、鈴やラジオなど音の出るものや適切なクマ撃退スプレーを携帯する、などの対策をすること
②人の生活圏では、クマの誘因物となるものを適切に管理すること。具体的には、放置された果樹やペットフード、コンポスト、家庭菜園の作物、夜間に出されたゴミなどがクマの餌となるため、しっかり管理すること
③クマと出会った際には、落ち着いて距離をとること。至近距離で出会ってしまったら、両腕で顔面や頭部を覆い、直ぐにうつ伏せになるなど致命的なダメージを最小限にとどめる行動をとること
を特にお願いします。
○ 人の生活圏にクマが出没した場合に、地域住民の安全の確保の下で市町村長の判断により銃猟を可能とする緊急銃猟制度が本年9月1日に施行され、10月15日に宮城県仙台市において、初めて実施されました。環境省としては、昨日島根県益田市で行っている現地研修会を始め、今後も地方自治体への技術的、財政的支援を通じ、緊急銃猟制度の円滑な運用を全国に広げることで、人の生活圏に出没したクマによる被害防止に努めてまいります。
○ 最後に、クマの個体数管理について申し上げます。クマは、集中的かつ広域的に個体数や分布域の減少を図る必要がある鳥獣として、昨年4月に「指定管理鳥獣」に指定されています。
人の生活圏への出没を防ぐためにも、山野における捕獲の強化が必要な地域もあります。環境省としては、地方自治体や関係機関と協力しながら、これまで人とクマとの共生に向けて進めてきた出没防止対策等に加えて、科学的データに基づいた上で、クマの捕獲を含めた個体数管理を一層強化することにより、痛ましい人身被害の防止に取り組んでまいります。